我が家の愛犬は神経質、敏感、怖がりで噛む犬です。
初めてのお世話には警戒しますし、嫌なお世話は唸って威嚇します。
愛犬とはいえ「噛むぞ!」と歯むき出しで鼻をヒクヒクさせて威嚇されると怖いですし、噛まれたことがあるとその痛さを知っているからなおさらです。
当然ながらそんな愛犬のお世話はすんなりできるようになったわけではなく、時間をかけて少しずつ少しずつ続けてきた結果です。
今でも歯みがきは苦手なので2人で練習中です。
かかりつけ獣医さんから新たに追加されるお世話も無理そうでもとりあえずチャレンジします。
お世話が難しい愛犬のお世話は、どちらか一方ではなく2人で少しずつ慣れていき、焦らず、じっくり時間をかけることがポイントです。
先日、こんなことがありました
先日、動物病院に行ったときにポメラニアンの子犬を連れてきていた人がいました。
私から他の飼い主さんに声をかけることはないのですが、その時はポメラニアンの子犬だったのでつい「かわいいですね」と声をかけてしまいました。
「うちもポメラニアンなんです」と愛犬を見せて少し話をすると、半分困ったような疲れたような顔で「ブラッシングってどうしてます?」と聞かれました。
私は「散歩から帰ったタイミングでしてますよ」と答えたのですが、するとその方は「ブラッシングしようとすると噛むんです・・・」と言って自分の左手を見つめていました。
その姿を見て「少なくとも左手は噛まれてるんだろうな」と思いました。
私はその様子が強く印象に残っているのですが、それはなぜかというと・・・まるで数年前の自分を見ているようだったからです。
今でこそ愛犬と大きく揉めることなくお世話ができていますが、数年前までは私も「何も思い通りにならない・・・」と困り果て、体中に噛み傷があったのです。
その方の姿を見て、当時の私は念願の犬との生活だったのに、心の中のほとんどが辛さで占められていたことを思い出しました。
お世話はスタートラインの2、3歩手前から入る
「お世話はスタートラインの2、3歩手前から入る」というと「なんのこっちゃ?」となりますよね。
たとえば、ブラッシングというと、愛犬の体をブラシでスースーととかすことをイメージしますが、神経質、敏感、怖がりなどの理由があって噛む犬の場合はいきなりブラッシングすることはできないことがほとんどだと思います。
まずは「ブラシ」というものを知ってもらうところから始めます。
愛犬が気にならないくらい距離のあるところにブラシを置き、だんだんと距離を短くしていきます。
距離が短くなってくるとブラシが気になり、ブラシを見に行ってみたりにおいを嗅いだりするのでブラシは危険なものではないと確認してもらいます。
次は、飼い主がブラシを手に持って見せます。
置いてあるブラシは大丈夫でも手に持ったブラシには違う反応をすることもあるので、「これはブラシだよ、危険なものではないよ」とブラシを紹介するくらいの気持ちで愛犬に見せます。
においを嗅いだりするので、気が済むまで確認してもらいます。
愛犬が手に持ったブラシに慣れてたらブラッシングをしてみます。
ブラシを愛犬の体にあてることから始め、少しずつとかしてみます。
少しでも静かにブラッシングすることができたらよ~く褒めます。おやつをあげるのもOKです。
初回から全身をブラッシングすることを目標とせず、「今日は背中を半分だけ」「今は腰回りだけ」など小さい部分から慣らしていきます。
人間がイメージするブラッシングはスースーと毛をとかすことですが、初めからそれを理解しているのは人間だけです。
犬にとっては「ブラッシングってなに?」「そのツンツンしてるものは何?」「なんでそんなことしなきゃいけないの?」と初めてのことだらけなのです。
スースーと毛をとかす前にできることがあって、愛犬の立場にたって恐怖心や疑問を1つずつ解消していって初めてスタートラインに立てます。
この過程が、「お世話はスタートラインの2、3歩手前から入る」ということです。
神経質、敏感、怖がりな犬のお世話は、焦ることなくたくさん時間をかけていいと思います。
そのような時間の積み重ねが、愛犬とのつながりにもなっていきます。
お世話が大変な時期もずっとは続かない
数年前、私が愛犬のお世話を何も思い通りにできなかった時、お先真っ暗というか半ば絶望を感じていました。
けれど、時間を経るごとに私自身がお世話に慣れ、愛犬もお世話されることに慣れて、だんだんとお世話が形になってきました。
不思議なことに今はあの大変だった日々が懐かしいと思い、少し寂しさすら感じます。
待ち望んだ愛犬との穏やかな毎日なのに、歯むき出しで唸られて、本気で噛まれて体に穴があき流血していた時が・・・懐かしくて笑えてくるのです。
渦中にいるときは心に余裕はないと思いますが、お世話が大変な時期もずっとは続きません。
形になるというか、なんとなくそれなりに収まるようになってくるので、大変さの中にも笑えるポイントとか会話のネタになりそうなことを探しながら、愛犬と一緒に慣れていくくらいの気持ちで十分だと思います。